※本稿は、榎本博明『裏表がありすぎる人』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
裏表人間にイライラしない予防策と注意点
裏表の使い分けがうまい人は、陰でこき下ろしている相手に対しても、面と向かうと感じよく振る舞ったりする上に、人の気持ちをくすぐるのが上手なため、案外「いい人」と思い込んでいる人がいたりする。それが少数派ならよいが、日常的にかかわる人たちが裏の顔に気づいていない場合、「なぜ気づかないのだ」とイライラしたりして、とても大きなストレスになる。
実際、多くの職場で裏表人間が成功しているのは、裏の顔を知らない人があまりにも多いからに他ならない。そのような状況になるのを防ぐのは難しいが、予防策としては、信頼関係が成り立っている同僚や先輩に実情を話し、その人のことを知っておいてもらうのがよいだろう。こちらのことを信頼してくれている相手なら、意外ではあっても信じてくれるはずだ。それが別の人にも伝わることも期待できる。
ただし、言う相手は慎重に選ぶ必要がある。うまくいけば危険な裏表人間を警戒する包囲網を張ることができるが、こちらよりも向こうとの心理的距離が近いと、こちらが嫌な人物と思われ逆効果になる。そうなったらますます大きなストレスに苛まれることになってしまう。
相談相手を誤ることの危険性
なかには裏表の使い分けが非常に巧みな人物に、部署全体が操られていることもある。その場合は、うっかりその人物の裏表について話すと、こちらがダメージを被ることになりかねない。そのような状況では、職場に包囲網を張るのは諦め、職場外の人間関係の中でその人物の嫌らしさについてわかってもらい、うまくストレスを解消していくことが大事である。
こちらの気持ちをわかってくれて、話を聞いてくれる相手がいると、ストレスが軽減され、気持ちが楽になる。このように助けになるような人間関係を「ソーシャルサポート」という。ソーシャルサポートは、ストレスの影響を緩和する重要な要因と言える。ソーシャルサポートには、「道具的サポート」と「情緒的サポート」がある。
道具的サポートとは、ストレスとなっている問題を解決するための方法をアドバイスしたり、必要な情報を提供したりすることである。情緒的サポートとは、直接の問題解決には役立てなくても、話を聞いてあげたり、共感したり、励ましたりすることである。
問題を解決できなくても、この場合であれば嫌らしい裏表人間が活躍している状況を改善できなくても、親身になって話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなるので、厳しい現実を前向きに生き抜くには、情緒的サポートはとくに重要である。

