人間関係の良好さが健康状態にも影響する

ソーシャルサポートがストレスによる悪影響を緩和する効果をもつことは、多くの研究によって証明されている。たとえば、ガン患者を対象にした研究において、週に1回、1年間、闘病中の気持ちを語り合ったり、病気への対処法について話し合ったりした人たちは、そのようなことをしなかった人と比べて、心理的苦痛が軽減され、軽度の痛みが改善され、平均生存期間も長いことが示されている。

糖尿病患者についての研究では、ソーシャルサポートのネットワークが乏しい患者ほど、病気を克服しようという意欲が乏しく、健康維持のための対処行動を取ることが少ないことが報告されている。ソーシャルサポートの少ない人ほど、風邪にかかる率が高いことも示されている。

ポジティブな人間関係が健康増進効果をもつことも証明されている。配偶者や友だちとの関係のポジティブな度合いを測定し、過去1年間に医師の診断を受けた疾病数、過去日間の症状の頻度、全体的健康度の主観的評価について調べたところ、いずれの指標をみても人間関係がポジティブであるほど健康状態が良好であることが確認されている。

コーヒーショップで話している2人の若い女性
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なぜ「話すこと」が心を救うのか

また、サポートをしてくれる友だちがいることがポジティブな気分を促進することがわかっているが、ストレスにさらされた場合も、その経験や気持ちを友だちに話すことができればネガティブな気分が緩和されることが確認されている。

このようにソーシャルサポートがストレス軽減効果をもつことには、気になっていることを率直に話せることが大いに関係していると考えられる。そこで重要なのは、自己開示できる相手をもつことである。

自己開示とは、自分の思いを率直に語ることだが、自己開示できる相手をもつのは容易ではない。日頃からよく喋っている職場の仲間であっても、言いにくいことがあるものだし、遠慮もあるし、何でも率直に自己開示できるわけではない。自己開示には、「カタルシス効果」や「自己明確化効果」がある。

胸の内に溜め込んだ思いを吐き出すと気持ちがスッキリするが、それがカタルシス効果である。腹が立つことがあったり、悔しいことがあったりするとき、だれかに話すとスッキリする。悩みごとがストレスになっているときも、悩んでいることをだれかに話すことで気持ちが楽になる。問題が解消することがなくても、自己開示することで気持ちがスッキリする。これがカタルシス効果である。