人見知りの人が、ラクに人と話せるようになるにはどうしたらいいのか。起業家で作家の豊留菜瑞さんは「人見知りの人は、『自分から何かを話さなければいけない』と思い込んでいることが多い。まずは、『自分から話すこと』をいったん諦め、相手の話を聞くことだけに集中してみるといい」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、豊留菜瑞『人見知りの仮面』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

ミーティングをするビジネスパーソンのグループ
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

「話さなきゃ」が会話を苦しくする

かつての私は、会話とは「自分から何かを話さなければいけないもの」だと思い込んでいました。

ただ人見知りの人にとって、この思い込みこそが最大の苦しみを生みます。

ある日、仕事で初めて会う方とランチをすることになりました。

業界の先輩で、尊敬している方です。絶対にいい印象を残したい。

そこで席に着くなり、私は用意してきた話題を次々と繰り出しました。

「最近の業界動向、すごく変化が早いですよね。特にAI関連の動きが激しくて、私も最近すごく勉強してるんです」
「先日発表されたあのプロジェクト、見ました? あれ、すごく面白いアプローチだと思って。私もああいう視点で仕事したいなって」

加えて相手が何か言おうとすると……、「あ、そうそう、それで言うと、最近読んだ本にも似たような話があって……」と、間髪容れず新しい話題を振り続けました。

この時、私の頭の中は次の話題を探すことで必死。相手が何を話していても、聞いているようで「次は何を言おう」とばかり考えているのです。

会話は続いているのに、なぜか距離は縮まりません。

それもそのはずです。

相手が何を話していたのか、
どんな表情をしていたのか、
どんな気持ちだったのか。

全然、見えていませんでした。

会話で大切なのは、「自分が何を話すか」ではなく、「相手の話を、どう受け取るか」だったのです。

「話す役」をいったん降りてみる

なお、「自分が話さなきゃ!」「自分がこの場を盛り上げなきゃ!」というプレッシャーで、意識が自分にばかり向いてしまう現象を、心理学では「自己注目」と呼びます。

これは、社交不安を強める最も典型的なパターンだと言われ、心理学者のクラークとウェルズによる「社交不安障害の認知行動モデル」の研究では、「自分への注目が高いほど会話がうまくいかなくなり、さらに自己評価が下がる悪循環が起きる」と示されています。

つまり、人見知りの人が苦しくなるのは、「話すスキルが低いから」ではありません。

“自分をどう見せるか”に意識のほとんどが奪われてしまうからです。

では、どうすればいいのでしょうか?

相手の前に立った時、「自分から話すこと」をいったん、諦めてみる。

まずはここから始めてみてください。