ステップ②表情の微細な変化を観察する

「どの話題で、目が輝いたか?」「どの瞬間に、表情が一瞬曇ったか?」を観察してください。

相手が笑顔で話していても、ある話題になった瞬間、目だけが笑っていないことがあります。

逆に、淡々と話しているように見えても、特定の言葉を口にした瞬間、目が少し潤んでいることもあります。

その変化に着目してみてください。

先輩経営者と働き方の変化について話していた時のことです。

その方は少し懐かしそうに、こう言いました。

「昔は、ああいう働き方も普通でしたよね」

そう言って微笑んだ直後、表情がほんの少し曇りました。その変化に気づいた私は、「当時の働き方は大変でしたか?」と問いかけました。

すると、その方はゆっくりと話し始めました。

「大変でしたね。でも、あの時の経験があるから、今の自分がある。当時に戻りたいとは思わないけど、あの頃の自分には感謝してるんです」

懐かしさと、戻りたくない気持ち。

その両方が浮かんだ表情の奥に、本音がありました。これこそ言葉より先に、表情が本音を語ってしまった瞬間です。

ステップ③呼吸と身体の動きを観察する

「どこで、深く息を吐いたか?」「どのタイミングで、身を乗り出したか?」を観察してください。

例えば、相手が話しながら、ふーっと深い息を吐いた瞬間。それは、緊張が解けたサインか、もしくは重い話題に触れたサイン。

身を乗り出して話し始めたら、それは「ここが大事なんです」という無言のメッセージです。

過去にクライアントと話していた時のこと。

それまで相手は、椅子の背にもたれながら「全体としては、想定通りだったと思います」と話していました。

ところが、あるポイントに差しかかった時、身体が前に動き、自然と身を乗り出して「でも、ここだけは……どうしても伝えておきたくて」と重要なトピックをお話ししてくださいました。

その動き自体が、「ここが大事なんです」という無言の強調です。

身体は、話の構成を先取りしており、感情の通訳者です。

その変化に気づけると、会話は「言葉の意味」を超えて、「今、この人の感情に何が起きているか」を教えてくれます。

相手の気持ちは言葉以外に表れる

これら3つのステップは、「言葉の内容」よりもはるかに雄弁に、相手の本音を語っています。

豊留菜瑞『人見知りの仮面』(サンマーク出版)
豊留菜瑞『人見知りの仮面』(サンマーク出版)

心理学では、これを「非言語的コミュニケーション」と呼びます。

実は、人が受け取る情報の93%は、言葉そのものではなく、声のトーンや表情、身体の動きから来ていると言われています。

つまり、相手の本当の気持ちは、言葉の「外側」に表れるのです。

最初から完璧に観察しようとする必要はありません。

「今日は声のトーンだけ意識してみよう」
「今日は表情の変化に注目してみよう」

そんなふうに、1つずつ試してみてください。

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