中国軍元幹部が「真の脅威」と認める

こうした日本の技術面での優位性は、中国にとって深刻な脅威となる。

ベルギーの軍事専門誌アーミー・レコグニションは、たいげい型はその船体を水中に潜めたまま、中国の水上艦艇や沿岸の軍事拠点を遠距離から攻撃する能力を持つと指摘。万が一にも台湾などで有事に至った場合、中国は艦艇が沈められる危険を承知で突破を試みるか、貴重な護衛艦や対潜哨戒機を攻撃任務から引き剥がして船団の護衛に回すか、苦しい二択を迫られることになる、と記事は論じている。

実際のところ中国側も、日本の潜水艦を脅威と認識している。サウスチャイナ・モーニングポストの取材に応じた元人民解放軍空軍幹部の傅前哨(フー・チエンシャオ)氏は、「自衛隊はほとんどの分野で人民解放軍に後れを取っている」と私見を述べた上で、「だが、潜水艦は注意と警戒に値する」と言及。「中国にとって真の脅威となりうる」と認めた。

台湾から112km、与那国島の要衝

日本の強みは潜水艦の技術力だけではない。地理もまた、日本に優位性をもたらすと論じられている。

台湾海峡周辺から太平洋へと連なる日本の島々の間には、戦略上の要衝となる海峡がいくつも点在する。沖縄本島と宮古島の間を通る宮古海峡、台湾とフィリピンの間に横たわるルソン海峡などが代表例だ。

いずれも幅が限られ、艦船が通れるルートは自ずと絞られる。航路が読みやすいということは、潜水艦にとっては格好の“狩り場”になるということだ。仮に有事となれば、身を潜めて待ち構え、通りかかる敵艦を仕留めることも可能だ。待ち伏せ攻撃に理想的な地形ということになる。

中国海軍の空母打撃群や上陸部隊がこれらの海峡を通過しようとすれば、日本の潜水艦の攻撃は避けて通れない。しかも、こうした海域では東シナ海に展開する中国軍の対潜戦システムも届きにくい。

インタレスティング・エンジニアリングは、日本の潜水艦隊が賢く運用されれば、中国海軍の数的優位を帳消しにできると論じる。古代ギリシャのテルモピュライの戦いを引き合いに出した見立てだ。紀元前480年、スパルタ王レオニダスが率いたわずか300人の精鋭が、狭い山道を盾にペルシアの大軍を何日も足止めした故事である。地の利を活かせば数の差は埋められると物語るこの教訓が、現代の海戦にも当てはまるというわけだ。

ミサイルによる防衛も「ゲームチェンジャー」

日本の防衛力は潜水艦に加え、ミサイル戦力でも大きく進化している。

アーミー・レコグニションによると、改良型の12式地対艦誘導弾は、射程を従来の約200キロから一気に900キロ以上へ延ばした。最大では1200キロ程度に達する可能性もあると同記事は分析する。

発射試験の写真 出典=防衛省・自衛隊ウェブサイト「スタンド・オフ防衛能力に関する事業の進捗状況について」令和7年12月19日
発射試験の写真 出典=防衛省・自衛隊ウェブサイト「スタンド・オフ防衛能力に関する事業の進捗状況について」令和7年12月19日