NPBとMLBの決定的な違い
――投手陣の整備については、どの球団も編成の問題に行き着きます。これには何か構造的な問題があるのでしょうか?
もちろん成績については監督として責任を感じています。これは言い訳に聞こえるので言いづらいのですが、本来、選手の編成は長期的な計画で行うべき球団フロント(運営会社)の仕事です。それが日本では、監督も編成にかかわるため、監督が代わるとチーム作りもコロっと変わる傾向にあります。
監督が長期的な視点で編成を考えるにはどうしても限界があります。その点MLBではフロント主導で編成を行っているので、監督が代わっても、そのチームがやろうとしていることはブレません。ゲームの戦術や戦略は監督によって変わりますが、チームの育成方針は、一貫して継承されていきます。
ドラフト会議に出なかったソフトバンク監督
――企業でも部署の責任者が代わると同じようなことが起きます。本来は会社が一貫性を持って、誰がそこの管理職になろうとブレないものが必要です。日本のプロ野球は、監督が代わると、すべてリセットされるようなイメージがあります。
【吉井】きっとファンの皆さんからもそう見えているんじゃないですか。監督をやってみて分かりましたが、ひとりでチームのすべてを見るのは不可能です。そのための組織であり、役割分担と権限委譲です。
たとえば今年、ソフトバンクホークスの監督はドラフト会議に参加していません。これはもう「編成は球団でやるよ」という意思の表れです。フロント主導のチーム編成に同意しない監督もまだまだいますが、そこは変えていくべきところですね。
――球団フロントと監督の相互理解が必要になりますね。
【吉井】MLBでは監督を決める際に、球団が候補者を複数人選んで面接します。その人が「どんな野球をやりたいのか?」「球団が目指している野球に対してどう思うか?」を対話しながら確認していくのです。強いチームを作るためには、日本でもそうやって監督を決めたほうがよいと思います。

