資本主義社会において利益はどのように生み出されるか。元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんは「働いている側からみれば、会社の利益とは自分たちのタダ働き分である。これをマルクスは『剰余価値』という言葉で表し、資本家による労働者の搾取の本質であり、実体だと指摘した」という――。

※本稿は、佐藤優『残された時間の使い方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/andrei_r
※写真はイメージです

SNSに姿を変えた「時間泥棒」

私たちは気がつかないうちに、自分の時間を何者かに奪われています。

ミヒャエル・エンデの有名な『モモ』という作品には、他人の時間を奪う灰色の男たち=「時間泥棒」が登場します。彼らは人々に「時間銀行に時間を預けると、時間が増える」と嘘をつき、他人の時間を奪おうとします。主人公のモモという少女がその時間を取り戻すという話です。

物語はファンタジーで子ども向けとされているものの、その示唆するところは現代社会への痛烈な批判であることは間違いありません。

今から50年以上前の作品ですが、エンデが投げかけた問題は決して古くなってはいません。

それどころか、「時間泥棒」はますます巧妙に姿を変え、擬態し、私たちの生活に忍び込んでいます。

その典型がSNSと呼ばれる情報ツールです。

X、LINE、Facebook、TikTokなどからYouTubeも含めて、私たちはいまや様々な分野と種類のSNSツールに囲まれています。

これらは情報空間を一気に広げ、多くの人が情報を共有することができるようになりました。SNSを通じてあらゆる人が情報を発信し、共有し、拡散することができる。実に革命的な技術であり、ツールであることは間違いありません。

それこそトランプ大統領のように一国の元首のメッセージが直接一般の人に届けられ、しかも双方向でコミュニケーションもできるわけです。