普通は言われたことを言われた通りハイハイとこなせば可愛がられると考えがちだが、それではレベルが低い。言われたことは誰でもやるが、言われた以上のことをやってこそ価値がある。私自身もそれを実践してきたし、側で見ていた後輩の秘書たちも、今や代議士や北海道議会議員、市議会議員として活躍中だ。

やる気のない者は言われた通りにしか動かない。うちの秘書を見ても、私が指示したことをちゃんとやる人はいるが、それ以上のことをするかどうかは、その人の将来をも大きく左右すると思う。

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可愛げがあれば、「嫉妬」をかわせる!

秘書になったのはまだ学生だった21歳の頃だから、周囲は年上ばかり。人生の先輩への敬意を忘れず、立ち位置には気を配っていた。それもあってか竹下登先生(元首相)や安倍晋太郎先生(元外相)からも信用され、お小遣いを貰ったりした。「出る杭は打たれる」から、妬みやひがみを持たれることもあった。秘書仲間にとって、「おまえらも鈴木を見習え」と比較され、日曜日も働いたりと余計なことをする私は迷惑な存在だっただろう。でも、そう言われてこそ一丁前。働きの悪い連中の声に気を使う必要はない。努力しなければ人の上には立てないし、大切な人からは可愛がられない。

特に印象に残っている中川先生の言葉がある。ロッキード事件で田中角栄さん(元首相)が逮捕されたとき、マスコミのインタビューで感想を聞かれた中川先生は、「俺は、角さんのようにはならない。何かあったら鈴木が捕まってくれる」とはっきり言ってくれた。

要は、頑張って人一倍努力すること。言われたことだけこなしていては、所詮「人並み」止まり。周りも「可愛い奴」とまでは思ってくれない。社長や部長など人の上に立つ人は、豊富な経験を持つ自分と比べてどれだけ努力しているかを判断する。ちょっと軽いなと思えば切り捨てるし、なかなかのものだと判断すれば登用したいと思うものだ。

新党大地代表 鈴木宗男
1948年、北海道生まれ。拓殖大学在学中より中川一郎衆院議員秘書。83年、衆院選挙初当選。2002年、あっせん収賄などの容疑で逮捕。10年失職、収監。11年仮釈放、新党大地設立。
(構成=吉田茂人 撮影=永井 浩)
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