ひとりで歩道を歩いているときに、前方から自動車が突っ込んできた。自分は交通規則に従って歩いている。自動車は本来、車道を通行するべきなのだから、私が自動車を避ける必要はない──。たとえ、そう考えたとしても、実際には自動車を避けることになるはずだ。つまり、「自分は悪くないのだから、何もする必要はない」という考え方は、正論ではあるが、現実的ではない。

組織行動学を専門にしているスタンフォード大学ビジネススクールのジェフリー・フェファー教授は、仕事をするうえで「正しいこと(right)」と「有効なこと(eff ective)」は異なることを理解すべきだ、と指摘している。

「正しいこと」をしている人が、必ずしも組織内で有能だと評価されるわけではない。組織の一員として仕事をする中で、時には「正しいこと」を引っ込めなければいけない状況もあるはずだ。頭の良い人、真面目な人ほど「正しいこと」に固執する傾向が見受けられるが、それは長い目で見れば自分のオプション(選択肢)を狭めてしまう恐れがある。