『孫子』におけるゴマすりの用途

「正を以て合し、奇を以て勝つ」とは、高名な兵法書『孫子』の一節だ。正攻法で敵と相対し、奇策を使って勝つ。ある解説書の例えを借りると、野球は打撃という正攻法だけで勝てなくもないが、盗塁という奇策を絡めれば効果絶大。盗塁を卑怯だからと言って使わないのは見当違いだ。ただ、盗塁だけでは勝てない――。

一般通念でいえば、ゴマすりは奇策である。もともと地力のある人が使えば鬼に金棒だが、地力のない人が使ってもご利益は薄い。当落線上にある人が使って初めて生きる。