“上司は常に待っている”という法則
電話は魔物、と言う今野氏の決め技は、休日に上司に電話することだ。
「精神的なハードルは高いが、『忘れないうちに言っとこうと思って』という一報は、迷惑でも何でもない」(同)
メールでは、ライバルとの差別化ができない。電話ならではの効能だ。ここから得られる“上司は常に待っている”という法則は、近年飲みの誘いを断られがちな上司を逆に誘い、相談事を持ちかけるという大技に応用できる。「そんなに俺に聞きたいか」と、にやける上司の“自己重要感”をアップさせられる。ただし、店から3時間は出られないことを覚悟しなければならない。
生き残り戦術において、手法と同様に大切なのがタイミングだ。今野氏は、「部下を査定前の1~2カ月の印象で評価している上司が非常に多い。余裕がないからこれが精一杯」と指摘している。
相手の心情を推し量り、短期集中で技を駆使し、目的を果たす――奇策というよりも、相応のコミュニケーション力が必要な正攻法。真っ当なゴマすりのできる人は、実は仕事のできる人なのかも。
(宇佐見利明=撮影)