※本稿は、犬塚壮志『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
オンライン会議の発言が「独り言」になっている人の特徴
あなたは、こんな経験がないでしょうか。
ZoomやTeamsを使ったオンライン会議。あなたは画面の向こうにいる相手に、一生懸命に説明をしています。しかし、相手の反応は薄く、うなずいているのかさえ定かではない。手元の資料に視線を落として説明を終え、ふと顔を上げると、そこには静寂と、感情の読めない数人の顔が並んでいるだけ……。
「……伝わった、のだろうか?」
そんな、まるで手応えのない壁に向かってボールを投げているかのような、孤独な感覚。リモートワークが普及した現代において、多くの人がこの「オンライン説明の壁」に直面しています。
その根本的な原因は、話し手と聞き手の間に生じる、二つの「困難」にあります。
話し手側の困難:聞き手の情報、特に説明中のリアクションが得にくい
聞き手側の困難:話し手と投影資料の両方を見ながら音声も聞くため、集中力の維持が難しい
説明がうまくない人は、このオンライン特有の困難を無視し、対面と同じ感覚で話そうとします。しかし、その結果生まれるのは、一方通行の「独り言」と、聞き手の「よくわからなかった」という静かな諦めだけです。
対面会議との決定的な違い
では、説明がうまい人は、オンラインという特殊な環境で、何を頭においているのでしょうか。
それは、オンラインのコミュニケーションが、対面とはまったく異なるルールで動く「別のスポーツ」であることです。そして、画面からは伝わってこない「見えない空気」を読み解き、それを補うための技術を、常に意識的に駆使しているのです。
(会議の開始時間と同時に)「はい、では時間になりましたので、早速ですが本日の議題についてご説明します。まず……」
説明がうまくない人は、相手が聞く態勢を整えているかを確認しないまま、いきなり本題に入ってしまいます。しかし、画面の向こう側の聞き手は、まだ別の作業をしていたり、スマートフォンを触っていたりするかもしれません。物理的に同じ空間にいないという油断が、聞き手の集中力を著しく低下させるのです。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。本題に入る前に、お願いがございます。もし可能でしたら、説明中はできるだけカメラをオンにしていただけると、大変嬉しいです。皆さんの表情を見ながらですと、私も安心してお話しできますので」
説明がうまい人は、まず聞き手が説明に集中できる「環境」や「態勢」を、話し手側でデザインします。聞き手に「あなたは見られていますよ」「この時間は、この話に集中するためのものですよ」と意識を持ってもらうことで説明の土台を固めるのです。

