なぜあなたの話は相手に届かないのか。教育コンテンツプロデューサーの犬塚壮志さんは「説明が下手な人は自分が話したいことだけを言い続けてしまう。説明がうまい人は自分が話す内容を固定せず、相手の反応を見ながら言葉を柔軟に変えている」という――。(第1回)

※本稿は、犬塚壮志『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

なぜ誰もあなたの話を聞こうとしないのか

あなたは、こんな場面に遭遇そうぐうしたことはないでしょうか。

会議やプレゼンの場で、話し手が一生懸命に準備した資料を、一言一句たどるように説明しています。おそらく、その人の頭の中は、次に何を話すか、どのスライドを見せるかでいっぱいです。その人は、一応最後までよどみなく説明を終えました。

しかし、ふと周囲の聞き手に目をやると、どうでしょう。ある人は手元のスマートフォンに視線を落とし、ある人はぽかんとした表情で宙を見つめ、またある人は困ったように眉をひそめている……。

あなたも感じたかもしれませんが、話し手が「完璧に説明しきった」と思ったその内容は、聞き手にはほとんど届いていなかったのです。

これは、説明がうまくない人が陥りがちな、典型的な失敗です。

「説明」という行為を「自分が話したいことを、決められた順番通りに、最後まで言いきること」だと考えてしまっていることが原因です。

説明上手はキャッチボールがうまい

ここで、説明における最も重要なマインドについてお話しします。

それは、説明の主役は、話し手であるあなたではなく、聞き手である相手だ、ということです。これは、メッセージを計画、作成、伝達するすべての段階で、聞き手の特性やニーズを最優先する「聞き手中心アプローチ」(Beebe, 2012)に基づいています。

伝わらない説明は、一人で壁に向かってボールを投げ続ける「壁当て」です。

一方、説明がうまい人にとって、「説明」とは、「相手にボールを投げ、相手がどう受け取ったかを確認し、次のボールを投げること」。つまり、「キャッチボール」なのです。

野球のボールを持つビジネスマン
写真=iStock.com/RyanKing999
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想像してみてください。あなたが友人とキャッチボールをしているとします。

あなたが力いっぱい投げたボールを、相手がうまく捕れずに落としてしまいました。そのとき、あなたはどうするでしょうか。「なんで捕れないんだ!」と怒ったり、「次はもっとうまく投げよう」と自分の投球フォームを気にしたりするでしょうか。おそらく、違いますよね。

「ごめん、ちょっと強すぎたかな? 今度はもう少し山なりで投げるね」と、相手が捕りやすいように、次のボールの投げ方を変えるはずです。