説明が上手い人と、そうでない人は何が違うのか。教育コンテンツプロデューサーの犬塚壮志さんは「知的好奇心を刺激する仕掛けがあると、聞き手は前のめりで話を聞いてくれる。説明がうまい人は、あえて情報を小出しにして相手の頭の中に疑問符を灯す」という――。(第3回)

※本稿は、犬塚壮志『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

オフィスでのプレゼンテーションで退屈する同僚
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです

プレゼンは完璧だったのにガッカリされたワケ

プレゼンテーションが終わった後、こう質問された場面を想像してみてください。

「素晴らしいプレゼンでした。で、もし一番言いたいことを一言で言うと、何になりますか?」

こんなとき、説明がうまくない人は、途端に言葉に詰まってしまいます。

「え、えっと……大事なことはたくさんありまして、Aも重要ですし、Bという視点もあって、つまりその……」

プレゼンで話したたくさんの情報を、自分自身でさえ一言に凝縮できていないのです。これは、プレゼンテーションに最も重要な「幹」がない状態です。たくさんの美しい葉(情報)が生い茂っていても、それらを支える幹がなければ、すぐに倒れます。

一方で、説明がうまい人は、この質問に即座に、そして力強く答えます。

「ありがとうございます。一番お伝えしたかったのは、『この新サービスで、お客様の待ち時間を半分にできる』、この一点です」

彼ら彼女らは、話す前からこの「幹」を明確に頭においています。プレゼンのすべての葉(情報)が、この幹から伸びているため、一貫性を持って聞き手に届くのです。

この「幹」の有無は、プレゼンテーション全体の構造に決定的な違いを生みます。

説明がうまい人はストーリー仕立てに話す

説明がうまくない人は、集めた情報をスライドに順番に並べていく作業、つまり「情報提供」だけでプレゼンを終えてしまいます。聞き手の頭には、無味乾燥なデータの断片が残るだけです。

しかし、説明がうまい人は、その情報を「ストーリー」として再構築します。聞き手の心を動かす物語の脚本家となるのです。

「まず、当社の現状ですが、売上は前年比5%減です。次に顧客アンケートの結果ですが、満足度は3.2点です。そして、競合A社の動向ですが……」


「私たちは今、売上が前年比5%減と大きな壁に直面しています(課題)。しかし、接客やデザートメニューはA社のものよりも良い、というお客様が多数いました(発見)。この光を頼りに、私たちは新たな冒険に出ることを決意しました(解決策)。その先には、最高の未来が待っていると、私は信じています(ビジョン)」

後者の説明には、課題の中に、光を発見し、解決して、未来のビジョンに向かっていくというストーリーがあります。

どちらのプレゼンが、聞き手をワクワクさせ、応援したい気持ちにさせるかは、火を見るより明らかでしょう。説明がうまい人は、聞き手の頭の中に、未来への期待が膨らむような物語を描くことを、常に頭においているのです。