「サブスク」のサービスを提供する企業はどのように巨額の儲けを出しているのか。経営コンサルタントの平野敦士カールさんは「NetflixやSpotifyは顧客に選ばせ方と続けさせ方を徹底的に設計して、しっかり稼いでいる教科書的存在だ」という――。

※本稿は、平野 敦士カール監修『すぐに使えるビジネス教養 マーケティング』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

Netflixの絶妙なサブスクプラン

Netflixは、ただの定額動画サービスにとどまらず、「選ばせ方」と「続けさせ方」を徹底的に設計したサブスクリプション戦略の教科書的存在です。その仕組みには、あらゆる業種に応用可能なヒントが詰まっています。

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段階的なプラン設計と価格の絶妙なバランス

VOD(Video On Demand)の覇者、Netflixのサブスクリプションは、広告付きスタンダード・スタンダード・プレミアムという三段階の価格帯に分かれています。

一見シンプルなこの設計は、実は利用者の選択行動を巧みに誘導する「アンカリング効果」や「ゴルディロックス効果(ちょうどよい中間プランが最も選ばれる傾向)」を活用した緻密な価格戦略です。

例えば広告付きの低価格プランを導入することで、従来のスタンダードプランに対する価値観を相対的に高め、さらに、視聴可能画質や同時再生可能台数といった明確な差異を設け、単なる金額の違いではなく「使い方に応じた最適プランの選択」という建前を成立させているのです。これにより、加入者は価格ではなく価値に基づいて選択していると感じやすくなります。