Spotify~無料トライアル→自動で有料プラン
Spotifyは、無料から始まり、自然と有料プランへと移行していく設計で成長してきた音楽配信サービスです。その根幹にあるのが「フリーミアム戦略」です。ここではその仕組みと収益構造などを学んでいきましょう。
KEYWORD→フリーミアム
フリーミアム:無料の先に利益見据えるモデル
フリーミアムとは、「Free(無料)」と「Premium(有料)」を組み合わせた造語で、基本サービスを無料で提供し、一部のユーザーから有料で収益を得るビジネスモデルを指します。
スウェーデン発の音楽配信サービス、Spotifyはこのモデルの代表例で、無料ユーザーの行動データと広告表示によって収益を生み出しつつ、有料への自然な移行を促しています。
無料プランでは広告付きで音楽が聴き放題という設計になっており、これにより利用のハードルが極めて低く抑えられています。この構造によってSpotifyは5億人超のアクティブユーザー(※)を獲得し、実は、その多くが無料プランを利用中です。
※註:2025年5月時点で6億7800万人(プレスリリースより)
2017年には広告収入が541億円を突破、課金以上の伸びを記録しました。広告原価が小さいため、無料層でも高い利益率が確保され、「無料でも儲かる」体制が整えられているのです。
解約されても、また戻ってくるという設計の妙
Spotifyのサブスクには一定の解約率が存在するものの、それを前提にした再獲得戦略が巧妙です。月間解約率は約5.1%とされますが、解約者の約40%が3カ月以内に再加入し、1年以内には50%が戻ってくるというデータもあります。
これはSpotifyの音楽体験が日常化している証であり、単なるサービス以上の存在感を持っていることを示しています。加えて、解約理由の3割は支払い失敗などによる「意図しない離脱」で、サービスに対する不満とは限らないようです。
Spotifyは、アカウント情報やプレイリストを保持し、再ログインすれば即座に元の環境が復元される設計を採用。これにより、復帰をためらわせない導線が確保されています。「戻ってきてもらう前提」の構造が、収益の安定を支える重要な柱となっているのです。



