大和ハウス社内では、例えばクロージングにかける3時間を半分にする、等々「時間を値切る」ことを常に求められるというが、草場氏は、時間に対する意識は昔から高かった……と自身を振り返る。
「鉄筋工だった親父は、徹夜してでも常に納期までに仕事を終わらせていた。そんな背中を見て育ちましたから、ダラダラ仕事するのは今も嫌い。大学受験のときも、勉強したのはサッカー部引退後の半年間だけ。短期集中で睡眠もほとんど取らない、めちゃくちゃなやり方でした」
受験科目ではない授業の最中には、こっそり“内職”をしていたという。短期集中に加えて“スキ間(?)時間”の活用もすでに身につけていたわけだが、FPの勉強はそうしたスキルの範疇を超えて業績アップにつながった、と草場氏は感じている。
「何の根拠もありませんが、勉強で自分を高めていくと、仕事でもツキが回ってくるんです、不思議と。やっぱり何かと真剣に取り組むと、運って回ってきますね。愚痴ばっかりで何もしない人間には、絶対に回ってこないですよ」
猛勉強中に好業績を上げ、子宝も授かったという草場氏の言葉には、月並みな精神論とは違う説得力がある。
12年4月に北九州支店へと転勤する直前、草場氏は2月と3月に1件ずつ成約したのだが、その相手は何と、新人だった17年前の草場氏が足しげく通い、怒られ、ことごとく断られた地主だった。
実に17年越しの成約――草場氏がみずから引き寄せた“好運”の流れは、依然として続いているようだ。
「今は建築士の勉強をマジで考えてます。情けないですが、私は建築の知識がまだ乏しい。今後の営業はそこを勉強して、省エネや防災などを切り口に進めていかないと。しかし、そうなると、かみさんには今後も頭が上がりませんね。そのうち、何かの形で恩返しをせんといかんと思ってます」
●草場氏の学びスキル3カ条
(1)スケジュールは時間ではなくテーマで区切る
(2)“スキ間時間”は徹底して活用すべし
(3)真剣な勉強は不思議なことに仕事運を呼ぶ
1972年、兵庫県生まれ。95年、関西学院大学社会学部卒業、大和ハウス工業入社。大阪中央営業所(現・大阪中央支店)に17年間勤務。2012年4月、北九州支店へ。