7時半~8時に起床。“スキ間時間”活用にも気を配った。移動時間中や、顧客とのアポまでの空いた時間に車中でDVD版テキストを流し、トイレでも常にテキストを開いた。

「全部で6科目あるんですが、最初に相続と不動産の2科目が受かった。つい調子に乗って、次は4科目全部の合格を目指したんですが……あれは地獄でした。能力を超えてましたね」

それでもペースを変えないのが草場氏の真骨頂だが、次の試験で受かったのは金融1科目のみ。最後の3科目(タックス、ライフ、保険)合格までに、合計2年を費やした。「子供も生まれましたが、家事も育児もかみさんに丸投げ状態。理解してくれてほんとに助かりました」。

名刺に“FP1級”と入れた後は、顧客の反応が変わった。

「『これ、どういうやつなん? 』とも聞かれましたが、銀行・JAの方に『君、1級持ってるのか』『よく勉強する時間があったね』と言われ、思った通り紹介が増えました」。

「建築士の勉強をマジで考えてます」

前述の通り“9期連続売り上げ3億円超”は、FP取得直後から始まった。しかし注目すべきは、営業の数字が成約から半年~1年後に出るという事実だ。

「最初に表彰されたのは、1番勉強していたときの成果です」

つまり、猛勉強を終えてからではなく、その真っ只中でこの数字を叩き出しているのだ。

「ちょっとカッコつけて言うと、本気で取ろうと思ったら契約は取れるんですよ」と本人は事もなげだが、成約後、実際にアパートを建てるまでの間に様々なフォローが必要となる。そちらに体を取られてしまい、新規の成約に回す時間が減るから、次期は数字が落ちるのが常だという。連続表彰は思った以上に稀有な業績なのだ。

勉強と睡眠不足というハンデを負いながら、なぜそんな離れ業が可能だったのか。

草場氏は、試験勉強で使ったスケジューリング法をそのまま仕事にあてはめた。つまり、「今日は契約までいこう」「今日は敷地の測量をやらせてもらおう」などと、時間ではなくテーマで仕事を区切ったことが効率化につながったという。