日本では、約8割の世帯が生命保険に加入している。総合保険代理店の代表を務める藤井泰輔さんは「病気になった時に損をしたくないという気持ちから生命保険、医療保険に加入しがちだ。しかし、実際の損得を考えずに契約してしまっている人が多い」という――。

※本稿は、藤井泰輔『正直すぎる保険の話 いる保険・いらない保険』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

生命保険サービス契約書
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給付金を受け取るのは本当に得なのか

突然ですが、みなさんは、10万円得するのと、10万円損するのとでは、どちらが精神的に大きなインパクトを感じるでしょう。コロナ禍で、国民に一律10万円が配られたとき、みなさんはどのように使いましたか。もし、それが、コロナ禍で10万円の拠出を迫られたとしたらどうでしょう。

私がシニアの人から投資に関する相談を受けたときに必ずお話しするのは、手元資金が100万円増えたときの喜びはさほどではないが、100万円失ったときの後悔は後々まで響きますよ。だから、資金は増えればいいが、減ったときのことを十分に考えて投資をしましょうと話すのです。

つまり、人はみな「得したいが、かと言って損はしたくない」と思うものなのです。

保険の場合、例えば、知り合いが病気で入院し、「医療保険から30万円支払われたので助かった」という話を聞けば、そのときに自分が保険の契約をしていなかったならば、もし病気になっても給付金が支払われないという損な目に遭いたくない。だから、保険を契約しておこうと思いがちです。

しかし、実際には、その知り合いが、30万円の給付金を手にするために、それまで100万円の保険料を支払っていたと聞いたらどうでしょう。そんなことならば、医療保険の契約をしないほうが得だと考えるのではないでしょうか。実際には、そんなことを考えもしない人が、持病があろうが何しようが、せっせと医療保険を契約しているのです。

保険の損得を十分に考えない人たち

何が言いたいか。つまり、保険を契約する(購入する)損得を十分に考えることなく、TVCMで流される「がん保険に入っていて本当に助かりました」という宣伝文句を信じ、まさかのときに支払われない損にだけ目がいってしまう。そんな判断を人はしがちだということです。

こういう話をすると「保険は損得ではない」と言う人がいると思いますが、保険も商品である以上、そこから得られる効用と、そのために支払う対価はしっかりと計算しておくべきだと私は思います。

あと、保険を売る側は、支払うべき対価である例えば月3000円の保険料を、「一日たったの100円」と宣伝します。しかし、「30年支払ってもたったの108万円です」とは決して言わないのです。108万円(3000円×12カ月×30年)の商品の購入は、普通の人にはそう簡単には決められないですから。

保険という商品を購入するのですから、その総額くらいは簡単な計算なので、やはりきちんと把握しておかなければいけないのです。