※本稿は、藤井泰輔『正直すぎる保険の話 いる保険・いらない保険』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
「がん保険」は必要なのか
この問いに対して答えを出すのは、医療保険よりも難しい気がします。
多くの人が「がん保険なんていらない」と言う一方で、元社長が「がん保険は不要」と言っていたネット生保が、その後がん保険の販売を始めたりとか、どうも一筋縄ではいかないようです。
私は、保険販売の現場で仕事をして既に30年近くになります。そうすると、お客さんに新たに保険を契約してもらうということよりも、保険金を支払う機会のほうが徐々に増えてきます。そうした経験を踏まえて、医療保険はいらないが、がん保険はあったほうがいいという実感を強く持っています。特に若い人は、がんに特化している分保険料も手頃なので、あってもいいかなと。
つまり、医療保険にしても、病気やケガで給付金が支払われることはそれなりにありがたいことですが、その割には医療保険があって本当に良かったと言う声はあまり聞きません。
一方で、がん保険を契約している人たち、特に若くしてがんにかかった人たちの中には、がん保険があったことで、がんになった苦しみの一部でも和らげられたという、経済面よりも精神的な安心を得られるという効用を挙げる人が実際多くいます。
だから、今では、特に若い人には、医療保険はなくても、がん保険はあったほうが良いと、私なりの経験を踏まえてアドバイスをしています。
選ぶべきがん保険の特徴
それでは、実際にどんながん保険を選べばいいのでしょうか。今やがん保険は、ネット生保を含めて多くの保険会社が販売していて、それなりに特徴があるのですが、その選択は容易ではありません。しかし、いくつかの点ははっきりしています。私なりに考えるその点とは、以下の通りです。
①シェアが一番と謳っているアヒルの生保の商品は、上皮内がんの保障が薄いなどの理由から、選択から外したほうがいい。
②保障の範囲は、放射線や抗がん剤治療による通院などまで限りなく広がっているが、保険料がその分高くなるので、診断給付金+治療給付(入院や手術など)+先進医療など必要最低限なものを選ぶ。
③診断給付金は、入院条件がなく診断確定時に支払われるもので、できれば複数回支払われるものを選ぶ。もちろん保険料との兼ね合いで。
④都道府県民共済のがん特約も選択肢となる。
以上、あくまでも私の考えではありますが。

