健康に長生きするためにはどんなことに気を付けるべきか。大阪がん循環器病予防センターの伊藤壽記所長は「最新の研究で、腸内環境が神経系の疾患に関与する例がわかってきた。お腹の調子さえ整えていれば大方、心身ともに健康でいられると言っても過言ではない」という――。(第2回)

※本稿は、伊藤壽記『自然治癒力を引き出す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

便秘に苦しむ若い妊婦
写真=iStock.com/Saito Fam
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腸内環境が脳に及ぼす意外過ぎる影響

脳と腸が密接に関連することを「脳腸相関」あるいは「腸脳相関」と言います。以前から知られていたことではありますが、腸管と脳は相互にクロストークをしていて体の調整をしています。腸管には栄養や水分を吸収する上皮細胞、免疫を担う免疫細胞のほかに、ホルモンを分泌する内分泌細胞や情報伝達に関わる神経細胞が存在します。

お腹の調子が悪い人は心にも不調をきたす傾向が見られます。逆の見方をすれば、緊張をするとお腹をこわして下痢になったり、便秘を起こしたりします。

整腸剤などの薬剤で便秘や下痢を治そうとしても改善しないということもあります。これは腸内の状態が脳の機能に影響を与えているからです。腸が第2の脳と言われる所以です。

近年の腸内細菌の解析技術の進歩により、この腸と脳の相関関係が明らかになりつつあります。

腸内細菌が出す生理活性物質が、私たちの体の受容体と呼ばれる分子と結びついて、様々な細胞の機能を変えることができると考えられます。

例えば、クロストリジウム菌より分泌される酪酸は抗うつ作用があることが知られています。