頭のいい子に育てるにはどうしたらいいか。英オックスフォード大学など海外の名門大学に合格者を多数輩出している「ケイ・インターナショナルスクール東京」(東京都江東区)を、国際教育評論家の村田学さんが取材した――。
ケイ・インターナショナルスクール東京
撮影=プレジデントオンライン編集部
ケイ・インターナショナルスクール東京

知られざる日本のトップ校

THE世界大学ランキング2025」で1位のオックスフォード大学をはじめ、プリンストン大学(4位)、ケンブリッジ大学(5位)、スタンフォード大学(6位)など欧米の一流大学に毎年多数の合格者を輩出している隠れた名門校が日本にあります。

東京都江東区にあるケイ・インターナショナルスクール東京(KIST)です。幼稚園から高校まで、合わせて680人の子供たちが学んでいます。

【図表1】KISTの進学実績
2020年以降の卒業生が合格した大学。*印は奨学金が授与された大学(KISTのHPより作成)

同校は1997年に特定の宗教を基盤としない私立校として設立。2002年からは「国際バカロレア(International Baccalaureate)」(以下、IB)認定校となりました。

IBは、スイスのジュネーブに本部を置く「国際バカロレア機構」が提供する国際的な教育プログラムで、世界の150を超える国・地域の5000校以上の学校で採用されています。「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」を使命としており、探究学習や体験的な学習を重んじていることが特徴です。学業成績だけでなく、小論文や社会活動、人格面も考慮される全人教育で「知のトライアスロン」と呼ばれています。

日本でも文部科学省がグローバル人材の育成を目指して2013年、国内のIB認定校を200校に増やすという目標を掲げ、現在では260校を超えるに至っています(文科省調べ)。

IBの最終課程であるディプロマ・プログラム(DP、高校2〜3年生に相当)を履修し、論文の提出や最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に通用する大学入学資格(日本でも1979年から大学入学資格として認められている)である「国際バカロレア資格」を取得することができます。

最終試験は世界共通で、5月または11月に4週間かけて行われます。幅広い知識はもちろん、概念やものごとの構造に対する深い理解と、それを書き表す能力がなければ得点できない難しい試験です。

IB関連情報サイトのIB-Schools.comによれば、この最終試験(2024年11月と2025年5月)の成績において、KISTは世界の4828校の中で第3位(※)という輝かしい結果を出しています。全世界の平均点数が45点満点中30.5点なのに対し、同校の平均点は42点で、約9割(89%)の生徒が40点以上という高得点をマークしています。40点というのはオックスフォード大学やケンブリッジ大学といった海外の超一流大学に出願する際に必要とされる点数であり、全世界の最終試験の受験者のうち、この得点をクリアしたのはたったの9.3%といいます(2025年5月試験)。

※記事公開時の暫定順位。最終的な順位は2025年9月中に確定する。

4年連続で世界トップ5入り

名門大学からの注目も高まっており、ケンブリッジ大学のようにイギリスからわざわざ入試担当者が来校し、KISTの生徒だけを対象にした説明会を行う例もあるといいます。

ちなみに日本国内でDPの教育を行っているIB認定校は現在、73校。この中で上記のランキングで世界トップ100にランクインした学校はありませんでしたが、KISTは4年連続で世界のトップ5に名を連ねています。

KISTが世界トップ水準の成績を出し続けていることは、ただ日本国内のIB認定校の数を増やせばいいという時代は終わり、今やIB校の教育の質の拡充を目指す時代へと、フェーズは移り変わっていることを示しているように思えます。