英語教育熱の高まりを受けて、首都圏を中心に英語などで保育を行う認可外施設「プリスクール」が増えている。国際教育評論家の村田学さんは「人気の施設が突然閉鎖するなど、一部でトラブルも起きている。問題のある施設は見学で見抜くことができる」という――。
門扉の閉まった園をのぞいている子供の後ろ姿
写真=iStock.com/Inna Reznik
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プリスクール人気で全国に800園

来年春からお子さんを幼稚園や保育園に通わせる予定のご家庭にとって、秋は見学の季節です。英語教育や国際教育に関心をお持ちのご家庭であれば、プリスクールもその候補に挙がっているかもしれません。

プリスクールは簡単に言えば、インターナショナルスクールの幼稚園/保育園バージョン。インターナショナルスクールと同様にもともとは外国人の子供たちの通う保育施設でした。でも1990年代以降は、英語教育への需要の高まりとともに日本人を受け入れるところが増えて裾野が広がり、今や日本全国に800施設ほどあります。

一方でインターナショナルスクールの小学校の数(つまり定員)はそれほど増えていないこともあり、プリスクールを出た子供の多くは、普通の小学校へと進みます。つまりプリスクールは「インターナショナルスクールに子供を通わせる特定の層」のものとは限らず、一般家庭にとっても幼児期の教育の選択肢の1つと言って(首都圏では特に)過言ではないわけです。これまでは高い費用がネックでしたが、幼児教育・保育の無償化でプリスクールに子供を通わせる家庭も一定額の給付が受けられるようになったことも追い風になっています。

プリスクールの多くは行政上の区分で言うと、一条校の幼稚園でもなければ認可保育所でもない「認可外保育施設」に該当します。多くはそれぞれの教育理念の下で誠実な運営が行われていますが、中には問題のある施設があるのも事実です。

年間保育料500万円の超高級園が経営破綻

実際、プリスクールの倒産は何年かに一度は起きています。例えば2021年には、茨城県つくば市の「つくばインターナショナルナーサリースクール」が経営破綻し、数十人の子供たちが突然、行き場を失いました。今年5月に授業料が年間500万円の超高級スクール「X」が突然閉鎖され、保護者に動揺を与えたことも記憶に新しいと思います。

筆者はこれまでに数多くのプリスクールを見学・取材してきました。実は「X」も取材はしたものの危うさを感じ、記事で紹介することを取りやめた経緯があります。本稿ではその時の経験を交えつつ、プリスクールの見分け方についてお話ししたいと思います。見学の際のご参考になれば幸いです。