難関校の入試では1万字近い出題文が出る
近年、中学入試の問題文・出題文(国語の物語文など)の長文化が進んでいる。例えば都内の難関校といわれる麻布、駒場東邦、海城などの国語入試では、試験時間50〜60分の中で8000〜1万字近い出題文を出す。また、解答も選択式ではなく、「なぜそう思ったのか」「もし自分だったらどうしていたか」など物語全体を理解したうえで、そう思った根拠や自分なりの考えを書かせる記述式の問題が増えている。こうした問題を解くうえで欠かせないのが、文章をスピーディーに、かつ丁寧に正確に読む力、すなわち読解力だ。
では、読解力はどのようにして身に付くのか──。各学年の学習の留意点を挙げておきたい。
一般的に中学受験の勉強は小学3年生の2月から、4年生クラスがスタートする。近年の中学入試の中身は、親世代の中学受験と比べるとはるかに難しくなっている。昔の難関校の難問が、今は中堅校の標準問題として扱われているほどだ。しかし、4年生の時点では、まだそこまで手に負えないわけではない。そもそも中学受験に挑戦する子供たちは、小学校では“できる”部類に入る子たち。最近では低学年から塾通いをしているケースも少なくなく、問題を読んで解くことには慣れている子たちが多い。
文章をきちんと読まずに勘だけで答える癖がついてしまう
そんな子たちにとって、4年生で学習する内容はそれほど手強くはない。国語の出題文もさほど長くないし、物語文も同じ年頃の子供が主人公を題材にしたものが多いので、さらっと読んだだけで、「はいはい、この子の気持ちを書けばいいんだね」「こういう場面のときは、決まってこのパターンだもんな」と、これまでの学習経験からの想像範囲内で答えられてしまう。そして、たいてい正解する。すると、「国語の問題なんてこんなもんでしょ」と、文章をきちんと読まずに、勘だけで答える癖がついてしまうのだ。
中学受験の勉強が始まると、親も子も「できたか」「できなかったか」「何点取れたか」「いくつクラスが上がったか」といった結果ばかりに目が向きがちになる。すると、できたことに対しては「うまくいっている」と思い込み、そのままのやり方を通してしまう。しかし、中学受験の勉強は、学年が上がるごとに内容が難しくなり、過去の経験に基づく勘や単なる知識の丸暗記では太刀打ちができなくなってくる。
4年生のときに出題文や問題文をいい加減に読んでいると、その後も文章をきちんと読もうという意識が働かず、例えば国語なら内容がよくわかっていないのにとりあえず答えをうめる、算数ならきっとこのパターンだろうと塾で習ったテクニックだけを頼って数字を当てはめてみる、といった勉強を続けてしまう。しかし、それでは正しい答えにはたどり着けない。