中学受験の準備はいつから始めればいいのか。受験指導に携わって40年以上になるプロ家庭教師の西村則康さんは「受験に向けた土台作りは生まれたときから始まっている。ただし、幼い頃から学習系の習い事やドリル学習をやりすぎるのは良くない」という――。

※本稿は、西村則康『中学受験の成功は、幼児期・低学年がカギ!「自走できる子」の育て方』(日経BP)の内容を再編集したものです。

テストの答案用紙を隠す子供
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

「中学受験の準備はいつから始めたらいいのでしょうか」

中学受験の指導に携わるようになって40年以上になる。この時期になると、毎年予約が殺到するのが「6年生の夏の対策」「秋以降の伸ばし方」といった入試本番を控えた受験生の親向けのセミナーだ。この傾向は昔も今も変わらないが、近年大きく変わったことがある。それは入試本番までははるか先の幼児・低学年向けのセミナーが、時期を問わず盛況であること。

その際、毎回必ず挙がるのが、「中学受験の準備はいつから始めたらいいのでしょうか?」という質問だ。

そんなとき、私はこう答えている。

「実は、受験に向けた土台作りは生まれたときから始まっているんですよ」

すると、親たちは血相を変えて「何をやっておけばよかったんですか?」「今からではもう間に合いませんか?」とたたみかける。

安心してほしい。もちろん、今からでも十分に間に合う。

遊び・お手伝い・親子の会話が中学受験の土台になる

一般的に中学受験の勉強は、大手進学塾の受験コースがスタートする3年生の2月から始まる。長年、中学受験の指導をしてきたプロから見ても、それが妥当ではないかと感じている。しかし、近年の中学受験の入試問題は、単に知識を詰め込み、演習をくり返すだけの勉強法では太刀打ちできなくなっている。いわゆる“思考系”と言われる、自らの手を動かしながら考えさせる問題にシフトチェンジしているからだ。

こうした問題を解くときに必要になるのが、「もしかしてあのときのあのことを言っているのかな」「○○をしたらこうなったから、この問題もその方法で考えてみたら答えが見つかるかもしれない」といった身体を伴った経験だ。小学生の子供の場合、それは幼児期・低学年の頃に経験した遊びやお手伝い、親子の会話などが当てはまる。