インターネット上には中学受験の情報があふれている。プロ家庭教師の西村則康さんは「成績が伸び悩んでいる子供の家庭には、いくつかの共通点がある。最近は、インターネットの間違った情報を鵜呑みにした親が、子供の足を引っ張るケースが目立つ」という――。
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ネットの間違った情報を鵜呑みにする親たち

中学受験の指導に携わるようになって、40年以上が経つ。これまでたくさんの親子を見てきて思うのは、成績が伸び悩んでいる子の家庭には、いくつかの共通点があることだ。特に近年は、良くも悪くもインターネットで簡単に受験情報が得られるようになったことで、間違った情報を鵜呑みにして、親が子供の足を引っ張るケースが目立つ。

そういう親たちの行動には、次の5つの勘違いがある。

1.過去問対策を6年生の4月からやらせる
2.6年生の10月になっても、クラスや模試の順位に一喜一憂する
3.塾のテストの点数にやたらとこだわる
4.「早く、早く」とせき立てる
5.タスク型の勉強をさせる

詳しく説明していこう。

過去問に取り組む時期が早すぎる

入試対策に過去問は重要ツールだ。ひとくちに中学受験といっても、各校の入試問題の難易度や問題傾向はさまざま。志望校の入試問題の傾向をつかみ、出題形式に慣れておくことは、受験勉強の鉄則といっていいだろう。しかし、過去問は取り組むのにベストな時期というものがある。一般に中学受験では、受験に必要な範囲の総復習が終了した6年生の秋以降に取り組むのがよいと言われている。

ところが、それを待たずに4月くらいから過去問をやらせる親がいる。「うちはとにかく過去問を何度もやらせた」「模試では合格点に届いていなかったけれど、過去問対策をしっかりやったら合格できた」などのネット情報が、いつしか“過去問神話”となり、過去問さえやっておけば合格できるという勘違いを生み出してしまっているのだ。

しかし、知識の整理や演習がまだ不足している段階で、過去問をやらせてみたところで解けるはずがない。合格点にはほど遠いその点数を見て、気持ちだけ焦り、「もっと勉強させなきゃ」「もっと過去問を解かせなきゃ」と空回りをくり返す。