「上位クラスをキープできないと志望校に入れない」

一方で、塾の成績にこだわりすぎてしまう親もいる。大手進学塾では、成績順位よってクラス分けが行われる。それが子供たちの競争心を刺激して良いという面もあるが、子供の成績が自分の成績とでも思っているかのように、わが子の成績に一喜一憂しすぎる親は少なくない。そういう親は入試直前まで、クラス順位を気にするところがある。上位クラスをキープできないと、「志望校に合格できない」と思い込んでいるのだ。

これもまた、「うちはずっとサピックスのαクラスだった」といった先輩ママ情報や、「アルファベットクラスでは、難関校は合格できない」などといったネット情報による影響が大きい。しかし、クラスを上げることや、クラス内順位を上げることを第一目標にするのは、6年生の1学期まで。夏休み以降は塾での成績よりも、志望校に合格するための勉強に切り替えていくべきだ。

青空に映えるひまわり
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過去の塾のテストをメルカリで購入

塾のクラスに振り回される親は、完璧主義者が多い。テストで間違えたところがあれば、全部正解できるようにならなければと、教え込もうとする。例えば、算数の「速さ」の問題で間違えが見つかったら、5年生のはじめのテキストに戻って最初から叩き込む。しかし、ひとくちに「速さ」の問題といっても、基本的な旅人算で解けるものもあれば、線分図やダイヤグラムを使って解くものもある。また、「速さと距離の順比」を利用する問題や「速さと時間の逆比」を利用するものもある。これらから理解できているもの、理解できていないものを判断して、理解できていない問題だけやればいい。無駄に範囲を広げすぎたり、深掘りしてしまうと、その穴から抜け出せず、時間ばかりが過ぎていくことになる。

また、塾のテストの点を上げたいがために、過去にその塾に通っていた子の1年分の月例テストをメルカリで購入する親もいる。それが、結構いい値段で売られていたりする。買う方も買う方だが、売る方も売る方だ。過去のテスト問題を解いておくことで点数が取りやすくなる塾も確かにある。だが、このような付け焼刃的な学習で身につけた得点力はすぐに崩れる。また、実力以上のクラスに入り、授業についていけなくなるのは目に見えている。

そもそも、中学受験の目的は志望校に合格することであり、塾で上位クラスを目指すことではない。そんなことは分かるはずなのに、渦中にいると冷静な判断ができなくなってしまう。それだけ、今の中学受験は、塾での成績が親たちの心を乱すのだ。