スケジュール管理だけして勉強させた気になっている
また、近年多いのが「何をやらせれば、成績が上がるか」だけに関心を向ける親。そういう親は、エクセルにこと細かに子供の学習スケジュールを打ち込んでいる。スケジュール管理だけして、やらせた気になっているのだ。特に父親にその傾向がある。
そういう親はやったかどうかのチェックは厳しいけれど、「どのようにやったか」の過程には興味がない。しかし、受験勉強で大切なのは、“量”ではなく“質”だ。間違えたところがあれば、なぜ間違えてしまったのか原因を突き止める必要があるし、苦手な単元があれば、どこまでは理解できていて、どこから難しく感じるのかを把握し、その原因を解消する方策を考案する必要がある。つまり、一つひとつ丁寧に点検していくことが大事なのだ。
そのことを伝えても、「いや、でもこのくらいの勉強量はやらせておかないと」と聞く耳を持たない。自分の成功体験が絶対だと思い込んでいるからだ。でも、それができたのは、すでに多くの知識があり、精神的にも大人に近い高校生だったからであって、小学生に、根性論を押しつけてもうまくいかない。それどころか、いつも親に叱られるばかりで、「やらされ感いっぱいの学習」になり、自信を失ってしまっている。そうなってしまうと、成績は絶対に伸びていかない。
子供の成績の伸び方には個人差がある
同じことを母親に言うと、そのときは「そうですね、先生のおっしゃる通りですね」と理解を示してくれるが、少し時間が経つとまた元に戻りやすい。そうはいってもなかなか成績が上がらないわが子に焦り、不安で何かをやらせておかないと気が済まないからだ。
子供の成績は、「これをやればすぐに伸びる」といった単純なルールではない。正しい勉強のやり方を教えてあげると、徐々に伸びる子もいれば、バラバラに蓄積された知識がようやくつながるようになって、急にグングン伸びていく子もいる。なかには入試が始まる数週間前から伸びる子もいる。そのくらい個人差がある。
愛するわが子を、志望校に入れさせたい。その気持ちはどの親も同じだろう。しかし、そのやり方を間違えてしまうと、子供にとって中学受験がつらいものになってしまう。上の「5つの勘違い」に心当たりがあったら、ぜひ今からでも見直していただきたい。「わが子のために」と始めた中学受験で、子供が勉強嫌いになってしまっては本末転倒だ。