コンビニの「復興力」:震災を機に「便利で安い」浸透
日本経済新聞の調べによれば、11年度のコンビニエンスストアの国内売上高は前年比8.2%増と、1997年度以来の伸びを記録。新規出店が続いているだけでなく、既存店売上高も2.7%増と高水準だ。
好調に大きく寄与したと見られるのが、東日本大震災をきっかけとした客層の拡大だ。震災直後の食品・日用品の品不足を機に、欠品が少なく、便利で値段も高くないというコンビニの利便性が再認識され、主婦や高齢者の来店が増えたという。コンビニの「復興力」に改めて注目が集まっている。
災害時に活躍、イメージ改善に力を発揮したのが、トラックをベースとした移動店舗や仮設店舗の積極展開だ。
「当社では移動店舗については、買い物不便地域対策として震災以前から検討していましたが、震災後に政府から早期実現の要請があり、11年9月から宮城県内の被災地で営業を開始しました」
ファミリーマートの広報担当・大月新介氏は説明する。
移動店舗はトラックを改造して商品を陳列。発電機を搭載し、冷蔵ケース、ポットや電子レンジが使え、公共料金の支払いも可能だ。1号車は被災地の中学校の校庭内に設置された、仮設住宅の駐車場を利用してオープン。12年6月に投入された4号車は、立入禁止が解除になったばかりの福島県南相馬市で営業中だ。飲食店はもちろん自販機すらない中で、原発作業員らの貴重な憩いの場となっている。
こうした努力を通じてコンビニと女性、シニアとの距離が縮まった。もともと各社は高齢者や女性を取り込むべくスイーツや惣菜開発などの工夫を重ねてきたが、震災を機についにそれが花開いた形である。