震災復興の財源として子ども手当の廃止や消費税増税が取り沙汰されているが、まず「何をやるか」を決めてから「いくら必要か」「財源をどうするか」を考えるべきだろう。私は震災後の4月上旬に被災地を訪れたが、ここからの復興は、予算の組み替えや消費税増税で数兆円を捻出したところで、どうなるものでもない。

むしろ日本の再生をかけて、東北をイノベーションの拠点に据えるべきだ。具体的には、東北にクリーンエネルギーのモデル都市を築き、電力の安定供給を求める企業や東海地震に罹災しそうな企業が生産拠点を移すことを促す。多くの雇用が生まれるだけでなく、この10年間で100兆円も増やし総額250兆円にも達する膨大な企業の内部留保を、復興目的も兼ねて使うことができる。産業育成という創設時の役割を終えた経済産業省は東北に移転させ、復興省として再生を担えばいい。