東日本大震災の後、「家の壁にひびが入ったが大丈夫か」といった質問が多く舞い込んでいる。目立つ損傷はなくても、不安な人も多いようだ。

家の耐震性を見極めるには、耐震診断を受けるのが確実だ。だが、その前に自身で家の状態を把握するよう勧めている。

まずチェックしたいのは家屋の亀裂とシミである。外壁、軒裏、サッシ回り、内壁、天井など、家全体を見てほしい。亀裂は経年劣化でも生じるが、地震後にできたのなら建物に変形があった証拠だ。0.5ミリのシャープペンシルの芯が差し込めるくらいの亀裂が1カ所でもあったら、安全性が疑われる状態だと思ったほうがいい。

シミが見つかった場合、家のどこかに亀裂があり雨が入っている可能性が高い。木造家屋の場合、水気を含むと木材の腐食が進み、シロアリ被害も出やすい。躯体がもろくなり、少しの力がかかっても、損壊あるいは倒壊の危険性をはらんでいる。

もう一点、確認すべきは家の建築年である。建築基準法の改正により、現行の耐震基準、俗にいう新耐震基準が施行されたのは1981年6月。これ以降に建築確認を受けた建物には、新耐震基準が適用されている。この法改正は、震度6強から7程度の地震でも倒壊は免れる強度を義務づけたもの。つまりそれ以前の建物は、大地震の際、強度不足が懸念されるわけだ。

ただし、旧法下でも、独自に耐震性を高めている建物もあり、一概に危険とはいえない。反対に、新耐震基準適用後でも、図面通りに施工されていなければ意味がない。また、新耐震基準とは倒壊などで人命が損なわれないレベルで見積もられ、建物の損壊・損傷は起こりうることを頭に入れておいてほしい。