セルフチェックを行ったうえで心配ならプロによる耐震診断を受けるといいだろう。費用は業者によりまちまちだが、5万~15万円が目安。あまりに安い場合は、耐震改修前提の料金設定であることも考えられるので、事前に確認しておきたい。その意味では、耐震診断と補強計画までを一つの業者に頼み、工事は別の業者に頼んだほうが客観性が高いといえるだろう。

診断方法はさまざまだが、弊社を例に挙げると、先に述べた目視に加えて、傾斜の有無、在来工法なら図面に沿って筋交いが入り、それが金具でしっかり固定されているかなどをチェックする。それらの結果から、新耐震基準と同等の強度を「一」として評点を割り出す。つまり、評点が出て初めて、耐震補強工事が必要か否かわかるわけだ。

もし、評点が1未満であれば、1以上に引き上げることが望ましい。工事内容は耐震壁の強化のような簡易なものから、筋交いの取り付け、基礎の補強などがある。費用も内容によって異なり、延べ床面積100平米前後の一戸建てでは、100万円から150万円未満の耐震工事が最も多いとされる(日本建築防災協会調べ)。壁の補強など簡単な工事なら10万円程度で済む場合もある。数社から見積もりを取るのが賢明だろう。

診断と改修の費用については、助成制度を設けている自治体もあるので活用したい。東京・中央区を例にとると、一定の条件を満たせば、耐震診断は上限15万円、耐震補強工事は上限200万円で、工費の2分の1まで補助される。無料で簡易耐震診断を行っている自治体もあるので問い合わせてみるといいだろう。

マンションの場合は、耐震診断費は最低でも50万円以上、補強工事は延べ床面積1平米あたり500~2000円かかるのが一般的だ。2000平米の建物なら100万~400万円という計算になる。実施には、分譲なら管理組合(居住者)の合意が必要になり、賃貸ならオーナーの意向次第。一戸建てのようにはいかないことを念頭においておきたい。

(構成=上島寿子)