このところ新聞・雑誌など各メディアで取り上げられている「地震保険」。本欄でも前号の入門編に続き、加入する際の注意点や、実際に災害に遭遇したときの手続きなどについて触れてみたい。

そもそも地震保険は、地震や津波、噴火による損害に対して、ほぼ唯一の補償手段となるもので、契約は火災保険とのセットが条件となる。被災時の補償は地震保険法に基づいて、国が保険金の支払いを保証する。

では、地震保険とは実際にどの程度役に立つのか。

地震保険で設定できる保険金額は、火災保険の50%が上限とされる。受け取る際は、損害の割合に応じて全損・半損・一部損の3区分に分けられ、それぞれ契約金額の100%、50%、5%となる。損害の割合とは、建物では主要構造部(柱・壁・はりなど)の損害割合または焼失・流失した延べ床面積の割合、家財では家財総額に対する損害割合をいう。たとえば一戸建て住宅で火災保険を建物2000万円、家財1000万円、地震保険をそれぞれ上限の1000万円、500万円で契約していたとする。もし建物が完全に倒壊したり流失・焼失して建物、家財とも全損となった場合には、保険金額はいずれも契約額の100%で、計1500万円となる。

一方、門や塀だけが壊れたり、食器棚が倒れて食器が壊れたといった場合はどうだろうか。門や塀だけで建物の主要構造部に損害がなければ保険金は支払われない。また、家財については、家財総額の30%以上80%未満の損失が出た場合は半損、同じく10%以上30%未満なら一部損とみなされる。このため壊れた食器が家財総額10%未満なら、保険金は支払われない。

地震保険の保険料は建物の構造と地域によって決まり、どの保険会社でも金額は同一だ。また、建築年や耐震構造などによって10~30%割引になる制度もある。たとえば、神奈川県の木造一戸建ての場合だと保険料は1000万円につき年3万1300円だが、1981年6月1日以降に新築された場合や、同年施行の改正建築基準法による耐震基準を満たすと診断された場合などには10%引きで年2万8200円になる。