新型宅配ボックスお披露目会にメディアが集結
4月10日、ライオンズマンションで知られる不動産デベロッパー大手・大京が新型宅配ボックス「ライオンズマイボックス」の発表会を催した。
マンションの宅配ボックスは、現状の設置率では通総戸数の約15%程度しかカバーできない。「ライオンズマイボックス」では、そのような従来型の共用ボックスに加えて、居住者の郵便受けと一体となった専用ボックスを完備することで世帯カバー率を120%まで向上。これによって、共用ボックスがすべて埋まってしまう事態を避け、「宅配クライシス」を引き起こしている再配達を劇的に減らすことができるという。
さらに特筆すべきは、居住者の専用ボックスでヤマト運輸、佐川急便、日本郵便という3社の荷物を同時に複数受け取ることができる点だ。従来の宅配ボックスはセキュリティの観点から、1つのボックスに入れられるのは1社の荷物とされていたが、前述の3社に個別のカードキーを貸与し、出し入れの履歴を管理センターで確認できるシステムを形成することで、複数入庫が可能となった。
この発表会の3日前、ヤマトがアマゾンの当日配送を撤退するというニュースが日本経済新聞の一面を飾ったことからもわかるように、「宅配クライシス」は社会の関心の高いテーマとなっている。この新型宅配ボックスも当然のようにマスコミ各社に取り上げられた。
「大京、宅配ボックスを各戸別に郵便受けと一体化」 (日本経済新聞 4/10)
「再配達減少に世帯ごとに宅配ボックス」(NHK ニュース シブ5時 4/10)
このような露出が獲得できたという意味では、この発表会は成功なのかもしれないが、正直なところやや話題先行型の感も否めない。メディアにはデモ機がお披露目されたものの、実はこの新型宅配ボックスによって実際に再配達の削減がなされるのは来春以降の話だからだ。
2017年度は5つの竣工物件で導入されるが、最も早い「ライオンズ東綾瀬グランフォート」(全50戸)で来年3月。並行して既存の管理物件にも導入を目指していくということだが、それはおそらくさらに先になるだろう。
「ライオンズマイボックス」は再配達を劇的に削減できるが、郵便受けと一体化としているため、50世帯分で幅6メートルと従来以上のスペースを使う。つまり単純計算でいうと、100戸なら12メートル、500戸や1000戸という大規模タワーマンションになれば陸上トラック程度のスペースが要するのだ。
既存の物件に導入していくとなると、このスペースを確保するためにエントランスや共用部分を削らなくてはいけない。大規模修繕時のタイミングで管理組合へ提案をすることになるというが、従来の宅配ボックスよりも割高で設置工事など手間のかかるこの新型宅配ボックスは、管理組合にとってかなりハードルが高いだろう。