代替エネルギー:投資ブーム去っても儲かるのは?
福島第一原発の事故を受け、12年7月から再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度がスタート。各地でメガソーラー発電所や家庭用太陽光発電システムなど代替エネルギービジネスが活況を呈している。
だがエネルギー問題に詳しい科学技術ジャーナリスト・石川憲二氏は、「太陽光発電や風力発電は不安定電源。電力の安定供給に責任がある電力会社に高値で購入させることは、経済原理に反しています」と手厳しい。
「そもそも雨の多い日本の日照時間は世界的に見て少ない部類に属し、発電効率も低くなります。風力発電も、偏西風が常時吹いているヨーロッパと異なり、日本では風が弱い一方で台風が通過するなど安定しません」
では、日本に適した再生可能エネルギーとは?
「ずばり、地熱発電です」
火山国である日本は地熱発電の適地が多く、産業技術総合研究所によれば、現在の技術で開発が可能な、150度以上の地熱資源量だけで2000万キロワット以上もあるという。
「地熱発電は発電量あたりの二酸化炭素の排出量が水力発電と並んで最も少なく、コストも1キロワット時あたり7円程度と格安。しかも出力が安定しており、電力会社が安定供給のために追加投資をする必要もありません」
さらに地熱発電用の設備に関して、日本企業は世界の7割のシェアを占めるという。だが実際の日本の地熱発電の発電設備容量は53万キロワット強と、全設備容量の0.2%にとどまる。
「普及しない原因は官庁による規制です。地熱発電の適地は80%以上が国立公園内にあり、開発が許可されないのです。また温泉関係者が発電所建設に反対し、資源調査もままならない例が少なくありません」
こうした障害がなくなれば、地熱発電は大きなビジネスに育つ可能性を秘めている。
ほかにも農業用水や砂防ダムなど小さな水の流れから電力を得ようとする小規模水力発電、バイオマス発電などは、水と森に恵まれた日本の地域エネルギー資源として大いに有望という。
風力や太陽光だけが再生可能エネルギーではないのだ。