“型”を採り入れて期待値を上げていく

「皆さんの意見とは違うかもしれないが、あくまで自分の見解を述べています」という前提を付することで、発言者はモノが言いやすくなり、周囲も「この人の意見として聞こう」という認識が都度生まれます。

発言を聞いたら反応を示さなければなりません。静まり返るのは否定と同じになってしまうからです。「いいね」「なるほど」「それもあり」など肯定的な反応が誰からも自然に出るならいいですが、そうはならないことのほうが多いです。そこで私がよくやるのはあらかじめ、反応の「型」を決めてしまうことです。

例えば、誰かが発言を終えたら皆で一斉に「よっ!」と掛け声をかける。議論は真剣ですから会議の重力に従えば、空気は固く重くなりがちです。そんなときにこうした全員一致のリアクションを挟むと、場の雰囲気も和らぎます。会議の結論も自ずといいものになるでしょう。

会議における悲しみを限りなくゼロにするお作法

会議の作法も、あらかじめ決めておきましょう。これは会議ごと部署ごとではなく、会社全体のスタイルとするのが望ましいところです。

例えば、会議中に誰かの携帯に着信があったとします。発信先をチラリと確認した人は「ちょっとすいません」というジェスチャーをしながら退室していきました。この振る舞い、あなたの職場はアリでしょうか、ナシでしょうか? 「大事な取引先からの連絡は身内の会議より優先すべきでは」「マナー違反だ。退席中の経緯を後で説明しなければならないのも非合理」など賛否あると思います。これはあらかじめルールが決まっていないことによって生じる、会議の悲しみです。

会議の段取りは誰が組むか、連絡は誰が行うか、参加者はどんな準備をして何を持参するか、議事録は誰がどんなフォーマットで作成するのか。トイレ休憩が欲しければ15分前に提案する、誰かが発言している間は口を挟まない、発言後にはお約束のリアクションをする――等々。あらかじめ作法を決めておくことで、多くの悲しみが回避できます。