「パリパリッ」への強いこだわり
ロングセラーの座に安住すると、すぐに没落する時代。ブランドとして絶えざる改良を繰り返している。商品開発でこだわるのが、食べた時のモナカの食感だ。
「2003年から商品パッケージで『パリパリッ』を掲げています。中のアイスからモナカに水分が移行することで外側のモナカが吸湿してしまう。それを防ぐためにモナカの内側に『チョココーチング』を、さらにモナカのスキマを埋めるために両サイドに『チョコの壁』をつくっています」
これまで何度も改良を実現し、そのつど同社はニュースリリースを出してきた。2021年の春、最初にバニラモナカジャンボで『チョコの壁』を実現、2023年にはチョコモナカジャンボでも実現した。後述するが商品設計が違うので同じ技術を共有とはいかない。今年2月にも「2年連続で『チョコの壁』の技術が進化」というリリースを発表した。
なぜ、そこまで「パリパリッ」にこだわるのか。
「お客さまからの反応が良いのです。当初は仮説から始まった改良ですが、データをみるとどうやら食感が良くなるたびに売り上げが良くなっている気がする。実際、『食べた時にモナカがパリパリッで気持ちが前向きになった』『元気になる』という声も寄せられています」
「製造から出荷まで基本的に5日以内」
中村さんには忘れられない思い出がある。新卒内定式の時、内定者全員に工場から直送されたチョコモナカジャンボが配布されて食べた。そのパリパリッの鮮度にいたく感動したそうだ。
ジャンボは「工場製造から出荷まで基本的に5日以内を目標」としている。それほど消費者が食べた時の「鮮度」も重視しているのだ。
「できたての味を届ける」鮮度へのこだわりはビールの「スーパードライ」(アサヒビール)が先駆けだが、冷凍で長期保存がきくアイスで最初に掲げたのは森永製菓だろう。中村さんはこんな裏話も明かす。
「弊社には、パリパリッ研究チームと味チームがあり、それぞれ4~5人が担当しています。研究はもちろん、週に1回はさまざまな小売店に行き、一消費者として商品を購入して鮮度を調べています」