褒められたら感謝で返す

インポスター症候群の人は、目立つことや自己主張をすることが苦手なことも少なくありませんが、管理職など責任のあるポストに就く場合は、避けられない部分があります。ですから、私はこうした人たちには、2つのアドバイスをしています。

まず、褒められたら感謝の言葉を返すことです。

インポスター症候群の人は、目立つことが苦手なためか、褒められるのが苦手です。褒められると真剣に謙遜するので、謙遜するのをやめるところから始めましょうと伝えています。

褒められた時にあまり強く謙遜すると、褒めた側にしてみれば否定されているように感じて、不快になることもあります。ですから、褒められたら「ありがとうございます」と感謝し、評価してもらったことを素直に受け入れる練習をするのです。

自己主張する練習をする

2つ目は、自己主張をする練習をすることです。

これは、経験を積むしかありません。最初は、会議や打ち合わせで意見を述べるところから始めましょう。

自分の意見や質問を、必ず1つは述べることを目標に会議に臨みます。どうしても難しい場合は、誰かほかの人が出した意見について深堀りする質問をしたり、今話題になっていることを確認する質問をしたりします。

たとえば「このプロジェクトの進行状況を、もう少し具体的に教えていただけますか」など、今議題に上がっているテーマについて確認したり、深堀りしたりする質問であれば、それほど難しくはなく、ほかの参加者にも有用な情報になるはずです。

口頭で意見や質問を述べるのは、緊張してしまってハードルが高いという人は、事前にメールなどで提案しておいてもいいでしょう。例えば、「次回の定例ミーティングでは、こんな議題を取り上げてほしい」などの提案を、事前に送っておくなどです。

ポイントは、「自分から発信する」ということです。誰かから「次回の定例ミーティングの議題を送っておいて」と指示を受けて発信したり、質問されたことへの回答を発信するのでは、自己主張の練習にはなりません。自分から引き金を引いて発信する機会を増やして慣れていくことで、人前で発言することに慣れていきます。

こうして、自己主張をして周りから受け入れられるという小さな経験を重ねてみてください。