「いつも同じ」は営業にとって強い武器になる
最初に私が、顧客の習慣になることを意識したのは、『メルセデス・ベンツに乗るということ』という本を読んだことがきっかけでした。
当時、メルセデス・ベンツは、新しいモデルに乗り換えても、メーターやパネル類の場所が同じでした。
何代にわたって乗り換えても、操作のストレスがなく、メルセデス・ベンツしか運転できないという状況をつくり、顧客を囲いこんでいるというのです。
同じであることが価値になる……目から鱗でした。
それまでの私は、一見すると地味にも見える、日々の訪問活動に一種のマンネリを感じていました。もっと、すごいソリューションをしないと、他の業者と差別化できない、そんな焦りも感じていました。
でも、お客様が望んでいることは、
「いつもと一緒であること」「すべてを言わずともわかってくれること」、
そんな基本的なことであると気付かされたのです。
確かに、考えてみるとそうです。
あなたの会社でも営業担当が変わる時、多くのお客様はストレスを感じませんか。
あれは、「習慣」が崩される不安があるからです。
なので、もしあなたが、かつての私のように営業活動にマンネリを感じ、焦ることがあれば、こう考えてみてはいかがでしょう。
「顧客の習慣に入る活動をしているのだ」と。
元P&GのCEO、アラン・ラフリー氏は、そのことを「顧客習慣」と言いました。
そして、彼はこう続けます。
「顧客は、差別化など求めていない。いつもと一緒であること、変わらないことが大事なのだ」
あなたの地味にも思える活動は、お客様にとってかけがえのない活動なのです。
「今日はちょっとラクをしようかな……」
「ちょっと手を抜いてもいいかな……」
「こんな単純なこと嫌だな……」
と自分に負けそうになった時、お客様の習慣を崩してはいけないな……と考えてみてください。意外とふんばれます。