納期は先延ばし、納品は前倒しに
ここで、ズルいテクニックを紹介しますね。
少し余裕を持った期限をお伝えするようにしてください。その方が安全ですし、なにより感謝されるからです。
実は納期設定にはセオリーがあります。
「納期は『先』に延ばし、納品は納期より『前』倒す」、です。
「15分程度お時間を……」とお伝えしながらも、5分後に返答すればいかがでしょう。お客様の期待より早くなるわけです。
これが、できるビジネスパーソンの王道です。
最後に1つ。
意外と多いのが、「明日中に返事します」と納期を明確にしながらも、その返事がないという事態です。
そうなると、「すぐにやります」より、タチが悪くなります。
でも、これ、ほんとによくあります。心当たりのある人は、注意をしてください。
この執筆をしている今も、昨日連絡のあった営業さんから返事が来るはずだったのですが、ありませんでした。だから、余計に気を付けないといけないと改めて感じています。
こうした営業さんは「もったいないな……」と思います。もちろん、約束の期日までに返事ができないことも、当然あることでしょう。
返事ができなければ、約束した期日にこう伝えれば解決します。
「申し訳ございません。まだご返事ができる状況ではなく……」と。
これだけでも、きちんとしているな、と顧客は思うもの。
まず、納期を明確にしましょう。そして、きちんと守る。これ鉄則です。
「この人なら任せられる」という安心感を獲得する
顧客の習慣に入り込むことができれば、それこそが最大の営業力となる。
この話をさせてください。
求人広告の営業をしていた時のこと。
そのお客様は、老舗の洋服店を営む社長さん。2週間に1度のペースで求人広告を掲載いただくお得意様でした。事務所は店舗の2階です。
その日も、いつものように水曜日の10時に階段を上っていき、ドアをノック。おおかた、この時間に来る人は、伊庭くらいなのでしょう。
いつものようにドアの向こうから、「伊庭さんか?」と、社長の声が。
「はい、伊庭です。おはようございます」
「おはよう。どうぞ、入って」
「お邪魔します」
そして、いつものようにイスに座り、5分程度雑談。
「また、いつもの職種で、募集を出しておいて」
「ありがとうございます。原稿、どうしましょう」
「伊庭さんに任せるよ」
「かしこまりました。また、作成したら見ていただくようにしますね」
「じゃ、一応、見せてもらうね。任せるけど」
「ありがとうございます」
おそらく、いわゆるソリューション営業とは、ほど遠い営業スタイルに見えたかもしれません。
でも、お客様が、長い付き合いをする上で本当に求めるのは、「この人なら任せられる」という安心感ではないでしょうか。
どんなに忙しくても、「いつもと一緒」であり続け、「この人に任せれば、細かいことは言わずとも大丈夫」と思っていただく行動をする。
この姿勢が、お客様の「習慣」に入り込むことでもあり、それができてこそ、お客様から信頼をしてもらえると、何度も実感してきました。