世界各地で100体以上の慰安婦像が乱立

この合意発表の際、岸田外務大臣(当時)と尹炳世韓国外相(当時)はテレビカメラの放列の前で記者会見し、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決」されたと宣明した。

山上信吾『日本外交の劣化』(文藝春秋)

丁度半世紀前の日韓請求権・経済協力協定の「完全かつ最終的解決」を想起させる文言であった。今度こそ最後、と言いたかったのだろうか? しかし、日韓協定のその後の実施ぶりがそうであったように、今までの外務省の対応を見る限り、これが最後になる保証はどこにもないのではないだろうか。

実際、韓国側は、政権が次の文在寅大統領に移るや否や、「真の問題解決にならない」として2015年合意を反故にするかの如き対応を示した。

また、その後の履行状況を見ると、本当に心寒くなる。

韓国側が「可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」としたソウルの日本大使館前の慰安婦像については、今なお撤去されていない。

のみならず、合意が発表された後の2016年12月には、韓国釜山の日本総領事館前でも新たな像が設置された。そして、韓国内外で慰安婦像は急増し、今や韓国、米国、カナダ、豪州、中国、台湾、ドイツといった世界各地で100体以上の慰安婦像が乱立する有様だ。

こうした像が、この問題について「性奴隷」といった誤った認識を流布することとなり、「日本の蛮行を世界に知らせる」との設置者の意図を受けて、国際社会における日本の名誉を引き続き甚だしく棄損しているのである。

「外交が機能していないのではないか」との指摘を受けても致し方ないだろう。

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