日韓で解決済みの問題に言いがかりをつけるような判決

12人の元慰安婦が日本政府を相手に1人あたり1億ウォン(約950万円)の損害賠償を求めた訴訟の判決が1月8日、韓国のソウル中央地裁で言い渡された。地裁は原告の訴え通り、日本政府に1人あたり1億ウォンを支払うよう命じた。

ソウルの日本大使館近くに設置されている慰安婦問題を象徴する少女像
写真=EPA/時事通信フォト
ソウルの日本大使館近くに設置されている慰安婦問題を象徴する少女像=2021年1月8日

元慰安婦が日本政府を相手取った訴訟で、判決が言い渡されるのは初めてだ。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、この理不尽で歪んだ判決に対し、尊重する考えを示している。徴用工訴訟と同じである。戦後最悪の日韓関係をさらに悪化させる気なのか。日韓関係をどこまで無視するのか。開いた口がふさがらない。

韓国は日本やアメリカと協力し、核・ミサイル開発を止めない北朝鮮の体制にクサビを打ち、軍事力を増す中国にも対抗していかなければならない。それをすでに日韓で解決済みの慰安婦や徴用工の問題をほじくり出して言いがかりをつけるような判決に追従する文在寅氏は、大統領の職を退くべきだ。

「日本政府が韓国の裁判権に服する」という歪んだ判断

菅義偉首相は8日、「判決を断じて受け入れることはできない」と首相官邸で記者団に語った。当然である。

ここで今回の慰安婦判決が、いかに歪んでいるかについて述べておこう。判決は「慰安婦の制度は日本政府による計画的かつ組織的に行われた反人道的行為な犯罪行為で、主権免除は適用できない」と指摘し、「日本政府が韓国の裁判権に服する」との判断を加えた。こうした指摘や判断は国際的に非常識であり、大きく歪んでいる。

「原告は想像しがたい精神的、肉体的苦痛に苦しめられた」と全額の賠償を命じた判決は否定されるべきだ。

ちなみに主権免除とは、主権国家はお互いに平等であるとの立場から国家とその財産が外国の裁判権には服さないという国際法上の原則を指す。国家間の円滑な関係を維持する国際慣習法の原点だ。韓国司法の「日本政府が韓国の裁判権に服する」との判断はその意味で問題なのである。