危険な地域での「追加調査」をJRに要請
12日開催の生物多様性専門部会では、悪沢、蛇抜沢などの沢の上流部での追加調査を複数の委員らが求めた。当然、JR東海は、上流部の調査は「安全性を確保できない」として否定的な考えを示していた。
県は今回、さまざまな沢の渓流釣りや登山者の聞き取り調査で作成した「大井川上流域マップ」を示して、「急な滝はあるが、到達記録の情報提供」「上流部不明」「作業道から到達可能か」など15の沢について、JR東海に調査を要請した。
この聞き取りでは、どのような状況で、人命の危険性が全くないのか、さっぱりわからない。当然、地質的に脆弱な地域だから崩れや雨水の影響によって、自然の脅威はまったく変わってくる。
筆者は、西俣川から悪沢、蛇抜沢などの状況を実際に見ている。人命の安全を優先すれば、どのようなリスクがあるのかわからない地域の調査など、そもそも行政は事業者のJR東海に要請すべきではない。
上流部の調査でいったい、どのような種類の何を守りたいのか? 会議後の囲み取材で聞いたが、委員からは具体的な水生生物の名前は挙がらなかった。新種の発見を期待しているのかもしれないが、その調査をJR東海に求めることはできない。
川勝知事の退任で「無意味な議論」はやめるべき
議論の対象にしてきたヤマトイワナは渓流釣りの対象であり、食べることを勧めている。あまりにも無意味な議論である。
生物多様性専門部会設立の目的とする「南アルプスの自然を守ることは国策である。ユネスコエコパークの生態系を保全するのは国際的な責務である」「世界の南限とされる希少動植物が多数存在し、守るべき極めて希少な生態系がある」ことは間違いではない。
しかし、これは光岳周辺地域のことであり、リニアトンネル工事による影響地域とはまったく無関係である。
川勝知事というあまりにもデタラメな権力者が退場したのだから、静岡県は「真実」をなるべく早く、県民にちゃんと伝える責務を負っている。