社長は社員からの意見にすべて目を通す
また、海外での砂漠のボランティア活動など、社員が自分磨きのために興味を持ったことに挑戦できる制度があります。社内公募、書類選考により合格すれば2週間から最長2カ月の公休がもらえます。自分を磨くことは視野を広くし、何らかの形で仕事にも結びつくからこそ、このような制度を設けているのでしょう。
極めつけは、「1人1日情報制度」です。仕事中に気づいたことや自分が経験した日々の出来事を社長に直接メールで送ることができます。そして、社長はその全てのメールに目を通します。そこからピックアップされたものが、翌日の日刊社内新聞に取り上げられます。社長から前向きなコメントをもらえることで、社員満足はもちろん、モチベーションアップにつながります。いつでも社長に意見できるという仕組みは画期的です。
この仕組みは社長が全社員の動向を把握していることにもつながっているため、社員の人事異動の判断を社長ができるのです。こういう会社で働ける社員はいきいきと仕事に取り組めるでしょうし、満足感も高いでしょう。
「気配り」の仕組み化に取り組む高級旅館
(事例)
客の好みを蓄積するシステムづくり
高級旅館「星のや軽井沢」では、お客さまの「好み」を蓄積する情報システムづくりをほかに先駆けて進めました。
24時間ルームサービスなど共通メニュー化されたサービスだけでなく、お客さま一人一人に合わせて「気配り」や「おもてなし」をする仕組みに取り組んでいるのです。例えば、お客さまが去ったあとに部屋にシャンパンの瓶が残されていたとします。その情報が再度訪れたときに生かされるのです。今度は、あらかじめ部屋にシャンパンクーラーをさりげなく用意しておいたり、タオルを多めに使ったお客さまがいれば、次回はタオルを多めに用意するなど、「気配り」ができる情報システムを作っているのです。
マーケティングの基本は市場をよく観察し、「誰に」、「何を」、「どうやって」を、4Pのフレームワークを使って顧客満足視点で仕組み化するものです。これらは、既存の組織と経営資源を顧客志向でうまく組み合わせてマーケティング目標を達成する有効な手段です。しかし、時としてさらに大きな視野で変革を必要とする場合があります。
例えば、市場構造の変化により収益が相対的に下がってきた場合や、新規分野で新しい事業を起こす場合、あるいは起業家が新たなベンチャービジネスを起こす場合などです。これらの場合もマーケティング思考は必修ですが、さらに大きくダイナミックな経営学の視点でビジネスモデルを考えることが有効です。