成長し続ける企業にはどんな特徴があるか。キッコーマンの元役員でマーケーターの三宅宏さんは「菓子メーカー・六花亭は北海道だけに店舗を持ち、東京進出はしない。売り上げや規模拡大を追求するのではなく、社員満足度を高めることで持続的な成長を実現させている」という――。(第3回)

※本稿は、三宅宏『世界はマーケティングでできている』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

六花亭のマルセイバターサンド(写真=Dddeco/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons)
六花亭のマルセイバターサンド(写真=Dddeco/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons

“社員満足度”が上がると、顧客満足度も上がる

本稿では「ビジネスモデル」について解説していきます。新規事業を立ち上げたり、混迷する経営状況から脱したり、ベンチャービジネスを新たに立ち上げたり、画期的新商品を出したりする場合は、従来のビジネスのやり方を根本的に改める必要があります。

経営視点に立って考えるケースも見てみましょう。市場にはいろいろなライバルがいます。市場の中で有利な位置を占めるための「競争優位のマーケティング戦略」についても最後に触れましょう。

社員が満足して仕事をしていると、顧客対応のみならずモノづくりにおいても完成度が高くなり、ミスも少なくなることは容易に想像できるでしょう。逆に、ノルマがきつく残業ばかりで報われない、いわばブラックな職場は一時的に業績が上がるかもしれませんが、顧客視点での満足や継続は難しくなります。

1985年、組織心理学者のベンジャミン・シュナイダー(Benjamin Shneider)は28の米国の銀行の支店に勤務する行員と顧客を対象に、1,000人規模の大きな調査を行いました。その結果、銀行のサービスは行員だけでなく顧客にも関係しており、行員満足度と顧客満足度は相互に影響し合う関係にあるということが分かりました。つまり、社員満足が上がれば顧客満足も上がるのです。