ロング缶2本はワイン1本に相当する

一時期はコンビニやスーパーのアルコール飲料の棚は、各社から次々と発売されるストロング系に占領されてしまうのではないかと思うほどの加熱ぶりだった。そんなストロング系に対し、医師たちが口を揃えて「危険」だという理由を吉本さんはこう解説してくれた。

「一番の理由は、そのアルコール度数の高さです。個人差もありますが、アルコール度数9%のストロング系は、ふつうなら2本のところ、1本で確実に酔えます。またフルーティな味わいもあってか、アルコール耐性の強い人だと短時間で軽く2本飲めてしまいます。実はストロング系のロング缶2本の純アルコール量は、ワイン720ml約1本に値します。ワイン1本というと飲み過ぎと感じますが、チューハイというイメージもあってか、ストロング系はそういう印象が薄いんですね。しかも血中アルコール濃度が急激に上がるので、早く酔っぱらってしまうのです」(吉本さん)

ストロング系9%のロング缶の純アルコール量は35.5g。これだけでも「飲酒ガイドライン」が示す「男性で40g以上、女性20g以上」のイエローゾーン(女性はレッドゾーン)となる。ワイン1本の純アルコール量は約71g(750mlアルコール度数12%)なので、ストロング系を2本飲めば、ワイン1本を飲んだのとほぼ同じになる。

いったん蓋を開けたら飲み切らないといけない

「こうしたことに加え、そういったお酒がコンビニやスーパーで気軽に買えることもまた、危険だと思う理由の1つです。ストロング系は“RTD”(Ready to drink)と呼ばれる蓋を開けたらすぐ飲めるお酒。しかも一度開けてしまったら、全部飲み切らないとダメだと思わせてしまう。日本酒やワインは1本飲み切らずとも、自分の酔い加減で止められますよね。でもストロング系は炭酸を含んでいるので、翌日以降に残すことがしにくい。だから飲み過ぎてしまうのです」(吉本さん)

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かつてストロング系を飲んでいた経験者として、これは非常によくわかる。甘いストロング系は、炭酸が抜けてしまうと正直おいしくない。それ故に「これ以上飲むと飲み過ぎかな」とわかっていても、「もったいない」からと飲み切ってしまうのだ。