生きて、死ぬだけ。人生に意味はない
心おだやかな人生を探求してきた仏教僧の私が「人生に意味はありません」と言えば、がっかりされるかもしれません。
ただ、私が申し上げたいのは、あなたの人生は“未意味”(まだ意味が決定していない)ということです。もし人生に決まった意味があれば、それに合わせた生き方をしなくてはならず、とても窮屈でしょう。
それでも人は、「自分がここにいる意味」を問おうとします。人生の意味がわかれば、使命感に燃えて自信のある生き方ができるからです。
多くの宗教は人生の意味をあらかじめ提示してきますが、特定の神を設定しない仏教は「決まった意味なんかない。それはあなた自身が作っていくのだ」とします。
それはまるで、一枚のキャンバスに絵を描いていくようなものです。一度描いたものは、消してなかったことにはできませんが、重ね塗りは何度でもできます。失敗の上に成功を重ねることも、裏切りに信頼を上書きすることも可能です。
あなたが描いている人生という絵に、あなたはどんなタイトルをつけますか。それがあなたの今現在の人生の意味です。そのタイトルは、これからも変わりつづけます。