自分の軸を持ちブレずに生きるにはどうすればいいか。元結不動密蔵院の名取芳彦住職は「人は相手も自分と同じ考え方をしていると思いがちだが、上司と部下、経営者と従業員、先生と生徒など、それぞれの立場によって、何に重きを置くかは異なる。そうして自分と異なる考え方の人に出会ったとき、『この人は私と違う土俵に立っている』と考えることで、心を乱さずにすむ」という――。
※本稿は、名取芳彦『達観するヒント もっと「気楽にかまえる」92のコツ』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
「自分のやり方」というアブナイ正義
人には3つのやり方があるそうです。正しいやり方、間違ったやり方、そして自分のやり方です。面白い分け方だと思います。
この中で、正しいやり方と間違ったやり方は、あとになって結果が出ます。やる前も、やった時点でも、正しいか、間違っているかは判断できません。
やる前には「これが正しい」と予測しますが、小さな親切だと思ったことが大きなお世話だったと判明する場合もあります。小さな子どもには無理だと思って手を出したら、「自分でやりたかった!」と怒られることだってあるでしょう。
このように、正しいやり方も間違ったやり方も結果論でしかなく、その結果もあとになって引っくり返る可能性があります。つまり、とても不安定なのです。
となれば残りは、“自分のやり方”しかありません。
結局、あなたも私も、人はみんな、自分のやり方しかしていないのです。「そんなことはない。会社のやり方にしぶしぶ従っているのだ」とおっしゃる人も、「会社のやり方に従う」が自分のやり方なのです。その意味で、人はみんな自分勝手です。