多くの人と“いい関係”を築くたった1つの方法

多くの人から好かれれば気持ちが良く、助けてくれる人も多くなり、生きやすくなります。人に好かれるには、相手の言動に共感し、寄り添うことが必要ですが、これをすべての人に行うのは不可能です。

やろうとすれば、相手によって自分の立場を変えることになり、信用を失います。

それでも多くの人といい関係を作りたければ、できることは1つ。あなたがみんなを好きになることでしょう。これなら、自分の努力で可能です。

好きになるには、相手との共通項に気づくのが最初のステップです。「あの人も私と同じように、人間関係で悩むことがあるだろう」「今日という日に、同じ国で生きている」などの気づきです。

こうした気づきから発生する「共感」の感情は、相手を受け入れる心を育んでいきます。そしてその心が、自分を生きやすい流れに乗せてくれます。

あなたが知っている人の中で、最も多いのは好きでも嫌いでもない人でしょう。同様に、多くの人にとってあなたはどうでもいい人です。「好き」「嫌い」でいちいち右往左往しないでいきましょう。

まずは、自分の「土俵」をしっかり作るところから

私たちは、相手も自分と同じ考え方をしているだろう、あるいは、同じであるべきと、つい思ってしまいます。そのために、考え方の違いがはっきりすると相手の主張に眉をひそめたり、ムッとしたりします。

上司と部下、経営者と従業員、先生と生徒など、それぞれの立場によって、何に重きを置くかは異なります。これは1つの組織内のことだけではありません。

名取芳彦『達観するヒント もっと「気楽にかまえる」92のコツ』(三笠書房)
名取芳彦『達観するヒント もっと「気楽にかまえる」92のコツ』(三笠書房)

ある証券会社の社員は「退職しても株の売買はつづけるでしょうね。面白いんですよ」と私に言ったことがあります。しかし、私は面白い人生よりも、おだやかな心で生きる人生を望んでいます。

自分と異なる考え方の人に出会ったとき、私は「この人は私と違う土俵に立っている」と考えることで、心を乱さずにすんでいます。関取がカーリング選手に「この土俵で相撲しよう」と誘っても無理です。

相手は自分の得意なフィールド(領域)で勝負しようとしているのですから、ノコノコと上がれば負けるのは火を見るより明らかです。まずは、自分がしっかり立てる土俵を作っておきたいものです。

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