自信をもって生きるにはどうすればいいか。元結不動密蔵院の名取芳彦住職は「特定の神を設定しない仏教は、人生に『決まった意味なんかない。それはあなた自身が作っていくのだ』としている。人は『自分がここにいる意味』を問うことで、使命感に燃えて自信のある生き方ができる。そしてそのタイトルは何度でも塗り替えていい。人生とは、まるで一枚のキャンバスに絵を描いていくようなものだ」という――。

※本稿は、名取芳彦『達観するヒント もっと「気楽にかまえる」92のコツ』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

ポピーを描く手
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“マイ・ルール”が自分を苦しめる

「こだわる」は、「他人からみればどうでもいい(きっぱり忘れるべきだ)と考えられることにとらわれて気にしつづける(『新明解国語辞典』)」という意味です。

つまり、こだわるのは良くないこと、というのが一般的な考え方なのです。仏教も「こだわれば、心おだやかではいられない」と説いており、私もそう思います。

こだわりは、「こうあるべき」「こうすべき」という、いわばマイ・ルールです。ルールがあれば、人はそれを守らない人を許せません。許せなければ、心は乱れます。その意味で、仏教の分析は実に明解なのです。

こだわりから離れて心おだやかに暮らすには、物事がどうなっているのかを冷静に観察する必要があります。

自分がこだわっていることを何とも思っていない人は、何をどう考えているのか。その人たちの根拠は正当なのか。自分はなぜ、そのこだわりを持つようになったのか。

観察をもとに分析してみれば、自分のこだわりなんて大した問題ではないと思えることがたくさんあるものです。